かつ丼と聞いて一般的に思い浮かぶのは、たまごでとじるものだが、会津若松では少々異なる。ふっくらご飯にキャベツの千切りをのせ、その上にソースをたっぷりしみこませたカツを乗せたソースかつ丼こそが、会津での定番かつ丼となる。

「とん亭」は、1972年創業のとんかつ専門店。以来、継ぎ足しで使ってきた特製ソースをたっぷりとかけた「ソースかつ重」が看板メニューとなっている。「半分くらい減ってきたら、じっくり火入れして新しく作ったソースを継ぎ足し、寝かせて味をまろやかにして使う」と主人の鹿目繁さん。香ばしく食欲を刺激するソースが、大きなカツを包むようにかかっていて、すぐにでもかぶりつきたくなる状態で客の前に出される。

とんかつには福島県の「健康美味豚」、「うつくしまエゴマ豚」などを使用。米も会津のコシヒカリ。福島県産食材のおいしさをギュッとつめこんだかのようなソースかつ丼は、ボリューミーながらも、最後のひと口まで食べ飽きることなく味わえると大人気で、昼夜を問わず大勢の客で賑わっている（2019年取材）。