
“これだ!”と思えた天職。成長の余地が多いから、挑戦しがいあるんです。
「震災後に家を建てているのを見て、いつか自分もやってみたいなと思っていたんです」。職人歴3ヶ月、左官として働き始めたばかりの小抜さん。高校ではスポーツ特待生としてバドミントンに打ち込み、専門学校ではデザインや造形を学んだ異色の経歴を持つ。「体を動かすのが好きで、じっとしていられない性格。なので、左官をやってみたら毎日楽しくて、“これだ!”って感じでした」。


現在は女性社員第1号として、先輩たちに学びながら壁や床を塗る日々に邁進する。「もちろん初めての作業にはつまづくこともあります。でも、見て覚える感じがスポーツに似ているなと感じます」。そんな競技活動で培った向上心や、幼い頃から実家の農作業で鍛えた体力も現場で生きているようで、男性に対し体力面で劣ることは少ない。また “女性だから”と特別扱いされることもなく対等に接してもらえていると話す。
「自分はまだまだ仕上がりの丁寧さを求めるとスピードが落ちちゃうので、これから成長できる余地がたくさんある。そこがやりがいです」と答える表情は力強い。いずれは自分達若い世代が会社を支えていきたい—。そう強い責任感をのぞかせる小抜さんの姿は、職人の世界にも女性が当たり前に活躍する未来を映し出している。
休みの日は、しっかり“ぐうたら”する。

休日は、家でゆっくり過ごすという小抜さん。「弟がまだ高校生と小学生なんです。だから、自分が家のことをやらなきゃいけない場面もまだ多くて。予定がない時はつい寝ちゃうことが多いですね」。
とはいえ、友人と会う時間も大切にしている。「食べるのもお酒を飲むのも大好きなんです!」と笑う表情は明るい。お酒の好みは「芋焼酎、日本酒…」と、なかなかの“通”。「おじさん臭いでしょ、あはは」とおどける姿に、飾らない人柄がにじむ。自然体で明るく、率直。そんな小抜さんの存在が、職場でもきっと多くの人に愛されているに違いない(2025年取材)。
