COLUMN 職人の胃袋を支えるガテン飯
現場監督/望月伶香さんのオススメ!!

濃厚煮干しスープに極太ちぢれ麺独自のスタイルの一杯。

ケンチャンラーメン山形

山形市郊外、尖ったの屋根の建物の前には、開店前から行列ができている。オープン以来、雑誌、テレビ、SNSなど軒並み高評価で、瞬く間に山形県のトップランカーに躍り出た人気ラーメン店。先日は選挙応援で山形を訪れた時の総理大臣が立ち寄り、名物の一杯を食べている。煮干しを利かせたコクのあるスープ、極太自家製麺にガシガシの歯応えとスープの旨味を感じながら味わうスタイルは、今も創業時と変わっていない。その麺は、店主の阿部勝重さんが、毎日5時間かけて仕込む。よく「ワシワシ」とも形容される食感こそが、ケンチャンラーメンの生命線とも言える。

自家製麺の茹で加減に気を配る店主の阿部勝重さん。その表情は真剣そのもの。

「創業以来変わってないですよ~。でも少しずつ変化はしてるけど(笑)」冗談とも本気ともつかない茶目っ気たっぷりに話す店主のニコやかで気さくな雰囲気も、創業時から変わっていないことのひとつだ。変わったところと言えば、阿部さんの頭髪の白髪が増えたことくらいか。その分、麺もスープも貫禄さえ感じられるほど、自信に満ちた一杯になっているのだが。

好みの味を券売機で指定
あとはひたすらすするべし。

定番の「中華そば」(左)と汁なしのまぜそば「気まぐれまかない」(右)。

メニューは「中華そば」と「つけそば」、そして限定の「気まぐれまかない」の3種が基本だ。麺の量は小盛り250g、普通300g、大盛り350g。ちなみに通常のラーメン店の場合、麺量は150g前後。となるとケンチャンラーメンの麺量はその倍ということになる。しかもどこにでもあるようなオーソドックスな麺が倍ではなく、ケンチャンラーメンならではのゴワゴワワシワシ食感の食べ応え十分な麺である。麺に力があれば、スープも相応に力強さが必要というわけで、動物系に煮干しを組み合わせたガツンと第一印象を刻むかのごとく、スープも旨味がしっかりしている。この衝撃のラーメンは一度ハマると通いたくなる魅力にあふれている。タレの濃さや油の量はお好みで選べるのもいい。極太麺の野武士のごとく荒ぶる姿に煮干しがぴたりと寄り添い、さらに動物系の旨味もしっかり感じさせながら、接客も申し分ない。間違いなくラーメン処・山形を代表する一杯である(2025年取材)。

この記事で紹介したお店
ケンチャンラーメン山形

所在地 山形県山形市西田2-1-17
電話 023-647-0086