COLUMN 職人の胃袋を支えるガテン飯
現場監督/千賀理貴さんのオススメ!!

レトロ喫茶で味わう大きめグリルサンド。

BREAK(ブレイク)

いわき市はかつて、日本一広い面積を持つ「市」であった。1966年、平市、磐城市、常磐市、内郷市の5市と石城郡の7町4村、双葉郡の2町村がひとつになった超大型合併であった。ブレイクが誕生したのは1977年のこと。合併したいわき市の中心部・JRいわき駅(旧平駅)にも近い繁華な場所である。日本の景気も1973年のオイルショックから徐々に回復しつつある時期であり、朝からボリュームたっぷりなメニューが味わえるブレイクのような店にとってもよい時期であったはずだ。

創業当時からのモットーを大切に、今もボリューミーなメニューが健在。

ブレイクを始めたのは、現在の店長・野田加世子さんの母上。創業当時からのモットーは「パンでお腹いっぱいになるように」。当時、喫茶店というとコーヒーを飲む場所で、お腹いっぱいになるメニューを出すような店は少なかった。そこで考えたのが、分厚くてボリューミーな「ミックス・グリル・サンドウィッチ」。1枚5㎝はあろうかという厚切りパンを4枚使って、特製の調理器具でしっかりとプレスし、外はカリッ、中はパンのふんわり感を出すように仕上げている。

ボリューミーなパンに目がいきがちだが
香りのいいコーヒーにもこだわる。

淹れ方、香りなどにこだわったアイスコーヒーが10種類以上ある。

ブレイクでは「ミックスピザトースト」や「シナモン・トースト」なども厚切りパンの存在感が際立つメニューとしてよく知られている。「でもうちでは、喫茶店の本道であるコーヒーも工夫を凝らしているんです」と店長の野田さん。定番のブレンドのほか、コロンビアや有機栽培のグァテマラ、トラジャ・コーヒーなど、コーヒー好きにも満足してもらえるような品揃えを誇る。そしてすっきりとしたキレのあるアイスコーヒーに生クリームがたっぷり浮かんだ「パッション」という個性的なメニューを出し、店のオリジナリティを大切にしている。パフェやプリンアラモードといった喫茶店王道のスイーツも充実していて、これならばいわき市の老若男女、幅広い世代から人気なのもうなずける。創業時からの客側の視点に立ったメニュー構成は、今もよく受け継がれていて、それは今後もずっと変わらないはずだ(2025年取材)。

この記事で紹介したお店
BREAK(ブレイク)

所在地 福島県いわき市好間町中好間中川原52
電話 0246-36-2943