COLUMN 職人の胃袋を支えるガテン飯
ガラス/澤口巧さんのオススメ!!

盛りよし、味よし、老舗の風格漂う食堂へ

あべ屋食堂

鉛色をしたスレートの外壁上部に、正方形の文字が等間隔で並んでいる。

「あべ屋」。岩沼では誰もが知る食堂で、その創業は昭和9年というから、かれこれ85年にもなる老舗だ。テーブルやイス、そして箸箱などを見ると昔ながらのそば店のような印象が強いが、ランチ時に多く注文が舞い込むのは丼を中心にしたご飯もののメニュー。盛りがいい上に価格も安い。聞けば消費税3パーセント当時からほぼ値上げをしていないという。

「価格を上げるのを親父がいやがるんですよ」と笑いながら話すのは、現主人の阿部智幸さん。焼肉丼、肉玉丼、親子丼などいずれも730円の価格にもかかわらず、小椀のそばが付く。とはいえ、そばにこだわりがないわけではない。実は3年前から、岩沼で栽培されているそば粉を使いそばを打っている。「まだまだ収穫量が少ないんですが、少しでも地元の味を多くの人に楽しんでもらえれば」と、いち早くあべ屋では、地元産のそば粉を使っている。

熱々に揚げた天ぷらも、あべ屋の自慢のひとつ。天ぷらそば、天丼のほか、なんと天ぷらラーメンでそのおいしさを楽しめる。カリカリに揚がった天ぷらはご飯、麺いずれとも相性抜群で、ことにラーメンやそばのスープに衣が染み出すと味が一層深くなり、おいしさも倍増。ぜひ試してみたい一杯である(2020年取材)。

この記事で紹介したお店
あべ屋食堂

所在地/宮城県岩沼市中央1-5-9
連絡先/TEL.0223-22-2671