2018.00.00 Sun

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COLUMN

建設コラム

ロボットに真似できない左官の技術は日本の伝統文化。

株式会社菅野左官店
菅野 喜仁

突撃!!会社訪問 2019.07.11

常に陽気で笑顔が絶えない菅野喜仁さんは、菅野左官店の三代目社長。祖父・父と受け継がれてきた系譜を引き継ぎ、現在、38人の左官工を抱える。「子供の時はそんなに意識はなかったんですが、高校、大学と進むうちいずれは家業を継ぐという覚悟ができた」と和やかな表情で話す。

菅野左官店の建物は、ちょっとした左官工のデモンストレーションになっている。塗りの色が異なる壁、凹凸のある壁、なかには瓶が埋め込まれたような部分も。「すべて祖父の代のものですよ(笑)。いろいろな左官の技術の見本のように考えていたんでしょう。とにかくものづくりの好きな人でした」。そうした祖父の代からの思いを、菅野社長も強く受け止めている。現在、病院やマンションなど大型建築の仕事を多く手がけるようになっている。こうした仕事では「薄塗り」と呼ばれる工法が多い。それゆえ、職人が技術をある程度覚えるまでの期間は、昔より早くなっている。とはいえ、左官の伝統的な技術の継承もしていきたい、と菅野社長は感じている。



AIやロボットが登場し、人間の仕事の省力化が進むなか、微妙な手ざわりや目で視た感覚が重要な左官という仕事は、人間でないとできない技術であると菅野社長は思っている。菅野左官店では、1997年に完成した白石城の漆喰壁にも、山形の左官工と一緒に携わっている。「おもしろい仕事でしたね。城の復元ということで昔ながらの素材と工法で漆喰壁を仕上げていく。やりがいがありました。今後もこうした仕事を手がけることができればうれしい」と菅野社長。近年は女性の左官工も入社。昔とは会社の様相が変わってきたが、そうした若い職人たちに、仕事に誇りを持ち「ものづくり」に励んでもらいたい。「左官は日本の伝統文化のひとつ。われわれもですが、次世代の人たちにも受け継いで欲しい」と、菅野社長は未来を見据えるからこそ、伝統技術の結晶のような左官をもっと多くの人に知ってもらいたいと思うのだ。

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株式会社菅野左官店

所在地/宮城県仙台市青葉区大町2-9-21
連絡先/TEL.022-222-2321

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